イ草について

イ草とは

イ草は、漢字で「藺草」と書きます。
単子葉植物イグサ科の植物で、別名「トウシンソウ」(燈芯草)とも言い、畳の表部分を作るときに使います。
標準的な和名は「イ(藺)」で、もっとも短い和名としても知られています。

畳に使うのは、イ草の茎の先端と根の部分をカットした中央部分です。

畳表1枚を織るのに4000~7000本のイ草を使いますが、刈り取り後すぐ使うのでなく、品質・長さ・色合いなどを十分に幾度も分別してから織機で織り上げます。

イ草
イ草の処理

イ草の効能

効能①:リラックス効果

イ草の芳香成分の約20%を占める「フィトンチッド」は、樹木などが持つ芳香成分と殺菌成分を持った揮発性の物質です。
森林浴ではフィトンチッドに接する事で健康だけでなく癒やしや安らぎ効果を得ます。

合わせて、他の芳香成分を保香して引き立て、リラックス効果も持つ芳香成分「ジヒドロアクチニジオリド」が約10%(紅茶に含まれる成分と同じ)、バニラエッセンスの原料として知られる「バニリン」を約6%含みます。

イ草の香りに感じる心地よさは科学的にも証明されているのです。

フィトンチッドのイメージ
紅茶

効能②:調湿

イ草は木炭に匹敵する高い吸湿性を持ちます。
6畳の部屋にイ草を敷き詰めた場合、約0.7Lの水分を蓄えることができるそうです。

イ草は湿度が高い時は無数の気孔から湿気を吸い取って中に蓄え、乾燥してくると内部に蓄えた水分を放出して湿度を調節してくれます。

機密性の高い現代の住宅において、エアコンをはじめとする冷暖房機器の普及により窓が締めきられた状態が多くなり、高気密・高断熱の室内は常に乾燥と湿潤を繰り返しています。
そのような状況は人の呼吸器系に負担がかかり、健康を害することにも繋がります。
イ草は呼吸器系にも優しい天然素材なのです。

高温多湿の日本でイ草が昔から重宝されてきたのにはこのような理由もあるのです。

効能③:空気浄化・消臭

イ草は、シックハウス症候群・アトピーや喘息などの原因となるホルムアルデヒドを吸着して分解します。
またその性質は不快な臭いを吸着分解し、空気を清浄します。

効能④:抗菌

イ草は、腸管出血性大腸菌O157・サルモネラ菌・黄色ブドウ球菌などの食中毒細菌、バチルス菌・ミクロコッカス菌などの腐敗細菌に対して抗菌作用のあることが明らかとなっています(2002年に防菌防黴学会誌で発表)。
最近の研究では肺炎の原因となるレジオネラ菌に対しても抗菌作用が認められました。
また古い文献にはイグサが炎症、切り傷、打撲の改善にも寄与する薬草であったとも書かれています。

畳の部屋でくつろぐ風景

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